「学校伝染病」は大きく三つに分類されています。

第1類 法定伝染病

 この分類に含まれる病気に感染した場合には、伝染病予防法が優先するため、
 感染者は隔離されて治療を受けることになります。
 最近、日本ではこうした伝染病はほとんどみられなくなりましたが、地方に
 よっては日本脳炎赤痢などがまれに発生することがあります。

[第1類に含まれる病気]
 法定伝染病のコレラ赤痢、腸チフス、パラチフス、痘瘡、ペスト、発疹チフス
 猩紅熱、ジフテリア、流行性脳脊髄膜炎日本脳炎です。
 猩紅熱は現在では抗生物質がよく効き、2〜3日で菌が出なくなるため、隔離を
 しなくてもすむように、一般に溶連菌感染症という診断名でよばれ、第3類とし
 て扱われることもあります。

第2類 学齢期に多い急性伝染病

 第2類に含まれる疾患には日常的によくみられるものも多く、ときには大流行す
 ることがあります。
 この分類の伝染病は9種類ありますが、咽頭結膜熱以外は予防接種があり、地域
 やかかりつけの医院で受けることができます。

[インフルエンザ]
インフルエンザウイルスによって起きるかぜ症候群の一つです。
39℃前後の高熱、頭痛、関節痛、のどの痛み、咳などの症状がでます。
[百日咳]
子どもに多い呼吸器の感染症で、かぜと似た症状で始まり、次第に咳が目立つよう
になります。咳は特にひどくなることが特徴です。最近は、学校で流行することは
まれですが、咳が長く続くときは疑ってみる必要があります。

[麻疹(はしか)]
現在も、散発的にみられます。風疹にかかった子どもの大多数は予防接種を受けて
いませんが、受けた場合でも効き目が十分でなかったり、免疫効果の弱まっている
場合があります。かぜに似た症状の後、発疹が出るのが特徴で、気管支炎や肺炎、
髄膜炎を起こすことがあり、注意が必要です。

急性灰白髄炎
ポリオ、あるいは小児麻痺といわれ、ひと昔前には大変恐れられた感染症です。
発熱、嘔吐、頭痛が起こり、やがて筋肉が萎縮して麻痺、変形を起こします。
 ワクチンの普及により、最近はほとんどみられなくなりました。

[ウイルス性肝炎]
ウイルス性肝炎には何種類かありますが、ここで対象となるのは主としてA型肝炎です。
発熱、頭痛、嘔吐、下痢、黄疸などを起こします。食事から伝染しますが、学校では
あまりみられません。

流行性耳下腺炎
通称おたふくかぜとよばれています。耳の下にある耳下腺が腫れます。冬から春にか
けて流行しやすく、合併症が起こることもあります。

[風疹]
三日ばしかとよばれるもので、発疹、頭痛、発熱が出ます。麻疹に比べれば軽度です
みます。

[水痘]
いわゆる水ぼうそうです。皮膚に盛り上がった発疹が現れ、やがて水疱となります。

咽頭結膜熱]
プール熱ともいわれ、夏に多い病気です。アデノウイルスに感染することによって起
こり、高熱、結膜炎、のどやリンパ節の腫れが主な症状です。

第3類 その他の学校伝染病

 結核、トラコーマに代わって増加してきた目の疾患の流行性角結膜炎、急性出血性
 結膜炎、およびその他の伝染病に分類されています。
 その他については特に規定はありませんが、手足口病、伝染性紅斑(りんご病)、
 流行性嘔吐下痢症、ヘルパンギーナ溶連菌感染症マイコプラズマ感染症などを
 含めることが多く、0−157による食中毒もその他の伝染病として扱われます。

出席停止の基準

 学校伝染病にかかったら、ほぼ次の期間は学校を休むことになります。
ただし、子どもが元気になって、学校医や、治療を受けている医師が感染の恐れが
ないと判断すれば登校することができます。

分類 病  名       出席停止期間の基準

  • 第1類      法定伝染病      伝染病予防法による
  • 第2類      インフルエンザ   解熱した後、2日を経過するまで

         百日咳       特有の咳が消失するまで
         麻疹        解熱した後、3日を経過するまで
         急性灰白髄炎    急性期の主要症状が消失するまで
         ウイルス性肝炎   主要症状が消退するまで
         流行性耳下腺炎   耳下腺の腫れが消失するまで
         風疹        発疹が消失するまで
         水痘        すべての発疹が痂皮化(かひか)するまで
         咽頭結膜炎     主要症状の消退後、2日を経過するまで

  • 第3類               治癒するまで