思い出した・・・

これから函館へ向かう。
先にいった仲間は今頃、函館の市場で、海鮮丼を食べていることだろう。


北海道で思い出した。
大学一年の夏。北海道へ行った。
ボーイスカウトのキャンプのあと、父が住む札幌へ寄った。


父は、私が中学二年のときから単身赴任。
最初は水戸。次は札幌。
公務員の性である。
父の単身赴任生活は10年間にわたる。


札幌の官舎へ寄ったとき、母がいた。
母は、初めて父の住む札幌の宿舎を訪れていた。


祖父母と同居だったら、その世話をしないといけないので、
単身赴任の父の元へは行けなかったはず。
このときは、喧嘩覚悟で札幌に向かったようだ。


母が何日か前に、官舎に着いていた。
父が駅まで迎えに来てくれた。


官舎と言っても古い建物。
がっかりしたのを覚えている。
部屋の真ん中に石炭ストーブが置いてあった。


母は何となくウキウキしている。
父の身の回りをする動きも軽快だった。
私は、札幌に二泊したが、終始母はニコニコしていた。


横浜への帰りは、母と一緒。
千歳空港で手を振る父を見て、泣きそうなっていた。
そんな母を見て、恥ずかしいやら、可哀想やら。
『家に戻ったら俺が一家の柱だ。しっかりせねば・・・』
などと勝手に思った。


思えば、母が父と二人だけで過ごしたのは、あの札幌の何日かだけ。
その後も、祖父母の世話をしながら家事を淡々とこなしていた。


法事でお経を聞きながら・・・。
そんなことを思い出していた。


母よ。あなたは・・・。
幸せだったのですか?