偲ぶ・・・

読経の途中で、思い出した。
祖父のランニング姿。
赤銅色の肌。170?。体重75?。筋肉質。
手が大きく、ごつごつしていた。


代々農家の長男。
朝早く、夕暮れまで田畑で働く。
無口で実直。酒豪。


小学校のとき、毎日祖父の布団を敷いていた。
相撲が好きで、大関貴ノ花のファン。勝つと上機嫌。
リヤカーを使うときに手伝わされた。
月に一度、サロンパスを薬局に買いに行かされた。


教員になった年の9月。水泳大会の日に逝った。
慌てて病院に行ったが、間に合わなかった。
今年で二十三回忌。


祖父とは還暦を隔てた世代間。
ちょうど六十歳違いの同じ寅年。
世間話や相談事はした記憶がない。
ただそばにいるだけだった。


ただそばにいるだけで、そして、働く背中で教えてくれたこと。
たくさんあるはず。


読経のあいだずっと思い出していた。